お祝いでいただいた胡蝶蘭の元気がなくなってきた——葉がしわしわになったり、根が黒っぽく見えたりすると、枯れてしまうのではと不安になります。大切な方からの一鉢ならなおさらです。
胡蝶蘭が突然弱るとき、最も多い原因は根腐れです。ただし、葉が溶ける軟腐病や、葉裏につく害虫など、見た目が似ていても原因が違うこともあります。専門店として、サインの見分け方から復活のさせ方、そして予防までを順にお伝えします。
胡蝶蘭が弱る原因で最も多いのは根腐れです。見分けるサインは、葉のしわしわ・黒い花茎などの地上の変化と、根の色。健康な根は緑〜クリーム色でハリがあり、黒くドロドロ・茶色くシワシワなら根腐れです。芯が緑なら、傷んだ根を切って植え替えれば復活の可能性があります。水のやりすぎを避けることが、最大の予防です。
根腐れのサインを見分ける
まず、地上に出るサインから。次のような変化は、根が弱っている合図のことが多いものです。
葉がしわしわになる、葉に元気がなくしなびる、花茎が黒ずむ、株全体が突然元気をなくす——こうした症状が出たら、鉢から根を取り出して状態を確かめます。胡蝶蘭の根は鉢から飛び出していることが多く、直接観察しやすいのも特徴です。
根の色で見る健康状態
- 緑色〜クリーム色……健康。多肉層にハリがあり、水分を蓄えています
- 白〜銀色……乾燥のサイン(ベラメンという保護組織の色)。水をあげると緑に戻る正常な状態です
- 黒くドロドロ/茶色くシワシワ……根腐れ。傷んだ根は切り取ります
- きれいな茶色で先端が伸びている……新しい根なので切らないでください
会社でいただいた胡蝶蘭の葉がしわしわになってきて、枯らしてしまったかと焦りました。調べて鉢から根を見たら、緑の根もちゃんと残っていて。慌てて水をあげなくてよかったと、あとで知りました。
——東京・会社員(お祝いでいただいた一鉢)
なぜ根腐れするのか
原因の多くは、よかれと思ってのお世話にあります。代表的なものを挙げます。
水のやりすぎがいちばん多い原因です。胡蝶蘭は東南アジアの木に着生する植物で、もともと乾燥に強く、毎日の水やりはかえって根を傷めます。次に多いのが植え込み材(水苔・バーク)の劣化で、2〜3年で通気性が落ち、根が常に湿った状態になります。受け皿に溜まった水の放置や風通しの悪さも、根腐れを招きます。
根腐れしたときの対処
根腐れが疑われたら、植え替えが基本の対処です。手順はシンプルですが、株の扱いはやさしく。
株を鉢からそっと取り出し、古い植え込み材を外して根を確認します。黒く変色した根、触れて崩れる根、スカスカの根は傷んでいるので、清潔なハサミで切り落とし、健康な根だけを残します。新しい植え込み材を巻いて、ひと回りの鉢に植え直します。
植え替え後の注意
植え替えてから2週間ほどは、水やりを控えて霧吹き程度にとどめてください。根が新しい環境に慣れる前に水を与えると、切り口から再び根腐れを起こすことがあります。株の芯が緑色で元気なら、復活の可能性は十分にあります。処置に自信がないときは、無理をせず状態を見てご相談ください。
根腐れと間違えやすいトラブル
株が弱るのは根腐れだけが原因ではありません。症状が似ていても、対処の違うものがあります。代表的な2つを知っておくと、慌てずに対応できます。
軟腐病(なんぷびょう)……細菌性の病気です。葉が水浸状にとろけ、独特の嫌なにおいを放ち、進行がとても早いのが特徴。疑われたら、ほかの株にうつらないよう離して置き、傷んだ部分を早めに切り取ります。専用の薬は園芸店で相談すると確実です。
カイガラムシ……葉の裏や株元につく害虫です。貝殻のような茶色く平たい突起や、白く粉っぽいものが見えたらこれ。見つけたら拭き取って取り除きます。放っておくと吸汁で株が弱り、病気を招くこともあります。
「これは根?それとも花芽?」の見分け方
初めて育てる方がよく迷うのが、株元から出てきたものが根なのか花芽なのか、という点です。見分けは難しくありません。
根は、下や横に向かって伸びます。鉢から飛び出すのは正常なので、切る必要はありません。一方花芽は、上に向かって伸び、多くは上から3枚目あたりの葉の付け根から出てきます。先が尖って上を向いていれば、花芽の合図です。楽しみに見守ってあげてください。
鉢の脇から太いものが伸びてきて、根なのか花芽なのか分からず、切ってしまいそうになりました。上に向かうのが花芽と知って、そのまま見守ったら、ちゃんとつぼみがつきました。早とちりしなくてよかったです。
——大阪・自宅で育てている方(いただいた一鉢)
根腐れを防ぐ日々の管理
根腐れは、起きてから直すより、防ぐほうがずっと簡単です。次のことを守れば、リスクは大きく減らせます。
根腐れを防ぐポイントは、次のとおりです。
- 植え込み材が完全に乾いてから、7〜10日に1回を目安に水やり
- 水やり後、受け皿に溜まった水は必ず捨てる
- 花や葉の付け根に直接水をかけない
- ラッピングは外して、風通しのよい明るい日陰に置く
胡蝶蘭は、実はとても手のかからない花です。よかれと思って毎日お水をあげるのが、いちばん弱らせてしまう。乾いてから控えめに、花には水をかけない。届いたままのラッピングは外して風を通す。これだけで、長くきれいに咲いてくれます。
——胡蝶蘭専門店ギフトフラワー スタッフ 井上
そもそも、産地から状態の良いまま届いた一鉢は、もともと丈夫で長持ちします。お手入れに気を使いすぎなくてよいのも、質の良い胡蝶蘭ならではです。次にどなたかへ贈るときは、生花店の店頭を経由しない、状態の良い直送の一鉢を選ぶと、贈り先でも長く楽しんでいただけます。
胡蝶蘭の根腐れでよくあるご質問
胡蝶蘭の根腐れはどう見分ければいいですか?
葉がしわしわになる、花茎が黒くなる、株に元気がないといった地上のサインが出たら、鉢から根を確認します。健康な根は緑色〜クリーム色でハリがあり、黒く変色してドロドロ、または茶色くシワシワになっていれば根腐れです。表面が白〜銀色の根は乾燥のサインで、水をあげると緑に戻る正常な状態です。
根腐れした胡蝶蘭は復活しますか?
株の芯がまだ緑色で元気なら、復活の可能性があります。腐った根をハサミで切り取り、健康な根だけを残して新しい植え込み材に植え替えます。植え替え後2週間ほどは水やりを控え、霧吹き程度にとどめると、切り口からの再発を防げます。自信がないときは無理をせず、状態を見てご相談ください。
鉢から飛び出した根は切ったほうがいいですか?
切らなくて大丈夫です。胡蝶蘭は木に着生する植物で、根が空気中に飛び出すのは正常な状態です。きれいな緑や、先端が伸びている茶色の根は健康な根なので残します。なお、下や横に伸びるのが根、上に向かって伸びるのが花芽で、花芽は上から3枚目あたりの葉の付け根から出てきます。
葉が溶けて嫌なにおいがするのですが、根腐れですか?
それは軟腐病という細菌性の病気の可能性があります。葉が水浸状に溶けて独特のにおいを放ち、進行が早いのが特徴です。疑われるときは、ほかの株にうつらないよう離して置き、傷んだ部分を早めに切り取ってください。専用の薬は園芸店で相談すると確実です。
根腐れを防ぐ水やりの頻度はどのくらいですか?
植え込み材が完全に乾いてから、7〜10日に1回ほどが目安です。胡蝶蘭は乾燥に強い植物なので、毎日の水やりは禁物。水やり後は受け皿に溜まった水を必ず捨て、花に直接水をかけないこと、風通しを良くすることが予防になります。
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